五代目

五代目松本幸四郎は、鼻が高く、「鼻高幸四郎」と呼ばれていたらしい。浮世絵も横顔で描かれ、見得も横向きだったとか。


現代の役者さんでも「鼻がいいから横向きばっかり」っていう横向き専門の役者がいてもいいのになぁ。電車の広告なんかで、「あぁ。やっぱり〇〇の鼻はいい」なんて、通勤しながら思いたい。


当り役は、『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の「仁木弾正(にっきだんじょう)」。五代目は、左の眉尻にホクロがあったので、今も仁木弾正を演じるときには、左の眉尻にホクロが描かれるのだとか。


仁木弾正の特徴ではなくて、当り役の役者の特徴が、役そのものとなって今も受け継がれているなんて。「仁木弾正と言えば五代目松本幸四郎だよね!」という観客や歌舞伎役者の思いが、ずぅぅと左眉尻のホクロの中で生きているんだね。


五代目の演じる仁木弾正をみてみたいけど、映像や写真があるわけもなく。でも、浮世絵の横顔や、左眉尻に描かれたホクロから、五代目の魅力に思いを馳せることのほうが、映像や写真を見るよりも、ずっと色気があるね。


左の眉尻に、ホクロを描きたくなってしまったのでした。


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